令和7年度東京都立一般入試共通問題(国語・数学)論評 [代表:宮谷]
先日実施された令和7年度都立入試の問題を先週末のじっくり観察・確認しました。

今日は国語と数学について、簡単に論評・分析したいと思います。
なお、問題と解答は東京都教育委員会に掲載されています。
【国語】

①大問1
漢字は例年通り読み書きで10問、20点の配点です。
難しくはありませんが、基礎学習をしていないと解答出来ない生徒さんが多いでしょう。
漢字や英単語は、とにかく日々の積み重ねが大事ですね。
②大問2,3
著作権の問題で物語文と説明文の本文が掲載されていませんが、問題を見る限りでは例年と出題傾向は同じです。
物語文は選択問題なので、合宿勉強会で指導・練習した通り、解き方のコツさえ掴めれば正答出来るはずです。
説明文は、こちらも記述式問題を除いては、物語文と同様に選択問題の解き方のコツ次第です。
記述問題は配点が10点と高いです。自分の経験や考えを述べる問題なので、いかに普段から自己分析して、それを言語化しているかだと思います。
そういう意味でも、自己PRカードや作文練習会など、自身のことを表現する機会を大事にしたいですね。
③大問4
最後の大問4の古典評論文は、こちらも著作権の関係で本文は掲載されていません。
国文学者の前田 雅之さんの「なぜ古典を勉強するのか: 近代を古典で読み解くために」という著書(2018年)から出題されています。
古典評論文の問題は、一見難しく見えるものの、内容自体は良く読めば解答出来るものが多いので、毛嫌いせずに取り組んでいきましょう。
④まとめると、例年通りの出題傾向で、きちんとステップを踏んだ生徒さんは解答出来るのでは無いでしょうか。
【数学】
①大問1
配点が46点と高い大問1ですが、今年は基礎学習が出来ており、過去問を積み上げてきた人は、概ね高得点を取れるのでは無いでしょうか?
四分位数と箱ひげ図が出題されなかったことや、確率や作図の問題も過去問に類似の問題がありました。
円周角の定理の問題が今年は出題されておらず(珍しいです。)、二次関数の変域と確率の問題が出題されていました。
これらの難易度も、過去問演習を10年分やりこなした人であれば、割と容易に取り組めたはずです。
②大問2
大問2は教科書に無い融合問題が出題されるパターンが多いですが、今年もそのような問題でした。
(1)は代入計算していけば解けますが、(2)の証明は難しく、解けない可能性が高い生徒さんは飛ばしたほうが時間を効率的に使えたでしょう。
③大問3
一次関数の発展問題ですが、一次関数の受験問題としては比較的標準的な問題です。
しかし、近年関数が苦手な生徒さんが非常に多く、受験前でも関数の基本公式や基本問題が解けない生徒さんが一定数いらっしゃいます。
比例・反比例から始まる関数を苦手としている人は、基礎学習から学び直し、問題パターンに対応していけるようにしていく必要があるでしょう。
現中学1/2年生の生徒さんは、関数は絶対に見逃さないようしっかり取り組んで下さい。
④大問4
大問1には円周角の定理の問題が出題されませんでしたが、この大問3で円周角の定理を活用問題が出題されました。
これは少し苦戦した生徒さんが多かったのでは想像します。
(1)は円周角の定理、直角二等辺三角形の角度、三角形の外角の定理等がわかれば、比較的スムーズに解けますが、
(2)の証明問題は、二辺とその間の角が等しいことを導き出せるかどうかです。証明は苦手で最初から放棄してしまう生徒さんも多いですが、中堅・上位校を受験する生徒さんはきちんと対峙しなければなりません。
(3)については、(2)が解ければ比較的簡単なので、やはり証明問題を諦めて駄目ということになります。
来年度の生徒さんからは、もう少し証明の対応を行おうと思います。
⑤大問5
三平方の定理を活用した立体図形の問題ですね。類題が都立で良く出題されます。
同種の問題の経験を積んでいる生徒さんは解けたはずです。
根気強く各種公式に当てはめていけば、比較的容易に解けるのですが、大問4までで力尽きてしまい時間が足りなかったり、根気が続かなかった人もいるかもしれません。
数学に限った話では無いですが、まずは解ける問題からアプローチし、時間を有効活用してくださいね。
⑥数学は大問1以外は難易度がそこそこあります。教科書を解いただけでは、教科書には無かった種類の問題も多く、過去問は受験レベル問題集をしっかり解く必要があります。重ねた人であれば80点を超えることも可能な問題ですが、そうでない生徒さんとのGAPは大きいはずです。