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思考する方向性や角度が間違えている

本日の佐賀新聞の記事で、以下のような内容がありました。

「障害児増え学力低調」 鹿島市教育長、発言を陳謝

鹿島市の江島秀隆教育長が昨年12月議会で、小中学生の学力の課題を障害のある児童生徒の増加と関連付けた発言をしていたことが分かった。22日の3月議会一般質問でただされ、江島教育長は「誤解を与えた部分はある。反省し、おわびしたい」と陳謝した。発言を裏付ける数値的な根拠はなかった。

江島教育長は12月議会で議員から学力向上の結果が出ない問題点はどこにあるかと尋ねられた際、「最近強く感じるが発達障害の子どもたちが少しずつ増えている。特別支援学級の子どもも若干増えている」などと説明した。直後の答弁で「発達障害を理由にしたことは訂正する」と述べた。

この日は別の議員から「差別的な発言ではないか」と問われ、江島教育長は「いろいろな要素で学力が向上しないという部分があるが、(障害を)学力と切り離して考えなければいけなかった」と釈明した。

議会後の取材に、「障害者が増えているのは全国的な傾向。発言に数値的な根拠はなかった」と話した。

市教委によると、知的障害や発達障害などがある子どもが在籍する市内の特別支援学級(小学1年~中学3年)の児童生徒数は、2012年度51人、13年度56人、14年度53人、15年度63人。増減率の他市町との比較や、全国学力テストなどへの影響は調べていないとしている。

以上佐賀新聞2016年3月23日号より抜粋

このような記事を見る度に、「公的な教育関係者は分かっていないなあ・・」と感じますね。「発達障害」の方は確かに増えています。それと成績の善し悪しは別の話です。

まず「発達障害」の方が増えているのは、医学が進歩し「発達障害」と診断される件数が増えているからなのです。昔であれば「やる気が無い」など、単に本人のモチベーションの問題として片付けられていたことが、実際は脳の先天的な機能障害で、年齢相当の行動や思考が難しい症状を持っているということが、医学的に分かり世間的にも徐々に認知されて来たわけです。

もちろん発達障害の方の中には、学習に困難を来す「学習障害」を持っている方も多いです。しかし、学習レベルがとても高い方もいらっしゃり、一概に学力を判断出来る物ではありません。

一方で、発達障害が無くても学力に課題がある生徒さんも沢山います。学習に少しつまずいて自信がなくなった人もいますし、学習以外の優先順位を上げ続けた結果(趣味や他の習い事など)、学習に付いていけなくなった人もいるでしょう。こういった生徒達の場合、さかのぼって基礎からやり直せば、たいていは学習は吸収していけます(ただし、相応の期間は掛かります)。

学習塾の現場では、特に後者の「優先順位」を間違えた生徒さんが大変多いのですが、これらが起こる要因としては、現代の子供達を取り巻く環境が、勉強をしなくても衣食住に困るといった状況があまり起こらないというのも関係しているかな?と感じています。

保護者さんが一所懸命働いて生活を支えていますから。だから、ある意味危機感や緊張感は本人に持てなかったのも致し方ないのです。

ただ、この状況は先々を考えると良くありませんよ。だから、これらの生徒さんの場合、保護者・学校の先生を含めた周りの大人がもっと速く手を打つべきだったと言えるでしょう。

つまり、学力が全体的に低下している現象に対しては、1つの要因だけが影響している訳で無く、複数の要因が影響している訳です。上記以外にもあるかもしれません。それを「発達障害の生徒が増えた結果」と片付けてしまうことは大変良くありませんね・・。

本来教育長という立場は、学校に係わる様々な問題について、複数の要因や原因を挙げ分析し、それに対して改善提案するのが本来の役割では無いでしょうか?

もちろん学校や教育委員会だけの問題では無く、子供達の周囲にいる大人がしっかり意識を持って、環境改善をしていかなければならないでしょう。

いずれにしても学力の問題は非常に複雑で、皆が感心をもって提案していくようにしたいものです。

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2016.03.23

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